【現地本部長日記】「海の20キロ圏内」

掲載日:2011.08.10

福島県の被害というと、原発被害のイメージが当然に強烈なわけですが、しかし実際には福島県でも浜通り地域を中心に甚大な地震・津波の被害が出ています。宮城県や岩手県の方が大きな人的被害を被ったことは事実ですが、福島県も本日現在で死者1,601人(三県合計では15,624人)、行方不明者252人(三県合計では4,740人)を数えます。

先日、浪江町の馬場町長から、津波による浪江町の行方不明者の捜索をもう一度集中的に行って欲しい、というご要請を受けました。これは一見、原発災害とは無関係な問題のように思えるのですが、実はそこにも放射能の問題が影を落としています。というのも、半径20キロ圏内の警戒区域というのが、実は、陸上だけではなく海上にも同様に設定されているからです。そして、その警戒区域に関しては、他の広大な海域とは異なり、ダイバーが潜ることによる捜索が行われていません(水中カメラなどによって捜索しています)。

今日現在、海上保安庁による福島管内でのご遺体の揚収は30体(三県合計では320体)に上ります。放射能汚染というハンディの中、大変な任務にしっかりと当たってもらっているものと感謝しています。ただ、家族がいまだ発見されていない方々のお気持ちを考えると、やはり、自衛隊や警察・消防などの陸上での活動の場合と同様に、海上の警戒区域内での海上保安庁の活動に関しても、今後明確な基準を設けることでダイバーの安全管理を万全にしつつ、可能な限り行方不明者の発見に努めご家族の元へお戻しできるようにして差し上げて参りたいと考えております。

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