【現地本部長日記】「ストロンチウムについて」
掲載日:2011.06.30
新聞にこの言葉が踊ると、必ず地域の方々から心配の声が上がります。私もドキリとします。私が6月1日にこちらに赴任してからも、土壌からの検出、最近は海底土壌からの検出がありました。
実は放射性物質には揮発性と不揮発性とがあり、よく知られたヨウ素131とセシウム134、137は揮発性です。従って、今のように100℃以上で蒸発が続いている原子炉からは、この三つは今も出ていると考えられます。一方、ストロンチウムやプルトニウムは不揮発性の放射性物質で、これらが土壌などから検出された原因は、3月の二度の水素爆発や過去の他国による核実験が原因ではないかというのが、東京電力側の現時点での見解です。その裏づけとして、第一原発内の空気中での測定では3月末から4月初旬に多くの放射性物質の種類が検出(最大で11種類)されましたが、その時にもストロンチウムやプルトニウムは検出されていません。
ちなみに、文部科学省が発表したストロンチウムの測定結果によれば、最大量が検出されたな浪江町赤宇木でストロンチウム89が3000Bq/kg、ストロンチウム90が250Bq/kg、それらを換算、合計した結果の被曝線量は0.045mシーベルト(ICRPが勧告する公衆の線量限度年間1mシーベルト)でした。
チェルノブイリの際の土壌中のストロンチウムの対セシウムの割合はおよそ1割。それに対して今回の福島の土壌では2000分の1から1万分の1です。これはチェルノブイリが炉心爆発によって放射性物質が飛散したのに対して、東京電力福島第一の場合は、二度の水素爆発はあったものの、燃料の温度上昇によって、主に揮発性の物質が放出されたためと考えられています。
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