【現地本部長日記】「川内村が戻る場合」

掲載日:2011.07.11

計画通り今月17日に事故収束に向けたステップ1が終われば、その後各自治体との協議を経て、緊急時避難準備区域の解除の可否が検討・判断をされることになります。ただ、解除と言っても、それぞれの自治体ごとの個別事情をよく把握し、自治体ごとの解除という形を取る可能性もあります。

例えば、川内村を例に取ると、この村はもともと人口が約3000人で、約1100世帯。その内、約100世帯が警戒区域内に、約1000世帯が緊急時避難準備区域に、それぞれ自宅があります。川内村の遠藤村長がおっしゃったことは、緊急時避難準備区域の村民が自宅に戻るときには、警戒区域の村民も一緒に村に戻りたい、というものでした。といっても、警戒区域の村民は自宅には戻れません。その代わり、村が仮設住宅を緊急時避難準備区域内に建設する、というのです。住宅建設には約1ヶ月はかかります。解除がなされたら速やかに建設着手をし、その1ヶ月を待ってでも、全員が揃って戻りたい、というのが村民の思いなのです。

しかも、川内村には、線量がかなり高い地域もあります。そこで現在、ホットスポットを見つけるためにモニターリングを詳細に行っています。仮に緊急時避難準備区域内にホットスポットが見つかれば、その住居地区だけは解除の対象外ということになり得ます。つまり、その場合には、その方々のための仮設住宅も緊急時避難準備区域内に必要になってきます。

もちろん、解除して住民が戻る大前提には、かなりの除染を完了して線量を低く抑えることや、また生活インフラがしっかり立ち直っていることを確認することも重要です。要は、こうした、どの町村にも共通した解除のためのチェックリストを用意すること、と同時に、上記の川内村のケースのように、個別具体的な町村の事情を十分に理解すること。この両方が解除のためには不可欠なのです。

そして言うまでもないことですが、住民が戻る選択肢はあくまでも住民の自由意志によるものだということです。すなわち、区域が解除されても、戻りたくないという住民がおいでであれば、その方のご意志は尊重されることになります。

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