【かなめ日記】「ハーグ条約国内法の衆議院可決を振り返って」
掲載日:2013.05.01
法務委員会の理事として、付帯決議の成立には苦労しました。最初は民主党として10以上の付帯項目を検討したのですが、付帯決議を過半数で可決するには、他の党の賛同を得る内容とする必要があり、現状の衆議院での議席構成の中、その調整に苦労しました。結果として残った、全会一致可決された付帯決議は、たった一つ、3年後の見直し・毎年の国会報告、というものでしたが、それでも重要な一点が加わったのではないかと納得しています。
このような難航をした背景には、この国際的なこの連れ去りの問題がさまざまな不幸の形を生み出し、守るべき対象が多岐にわたるからだと思われます。民主党には今日まで、主にDV被害女性を守る団体からの相談・陳情が来ていたわけですが、他方、参考人質疑でも明らかになったように、偽DV告発による被害男性も苦しんでいます。那須塩原市の渡辺副市長の参考人陳述には、私も衝撃を受けました。片方の利益が他方の不利益、のような構図であるため、立法は中立でなければならず、付帯での追加的な取り決めがなかなか纏まらなかったわけです。さらに、国際ルールと現状の国内ルールの違いについても、見解が分かれました。結論としては、当面は運用をしてみて、どんな不都合が生じるのか、などなど見極め、さらに議論していこうということに落ち着いたわけです。
そもそも、このハーグ条約(同じ名前で他にも幾つかありますが)は1983年に発効したのですが、世界で実に89か国が加盟しているこの条約に、日本は加盟してこなかったのです。理由は、はっきり言って、国の不作為。前の自民党政権は政権から転落するまでの約25年間、この世界の流れを完全無視。国際結婚・離婚の急増で問題は明らかに長期間表面化、深刻化していたにも関わらず、無策でした。国際社会からの再三の批判を受けとめ、初めて民主党政権下で加盟に向けた条約承認と国内法整備が閣議決定されたのです。しかし、今度は野党になった自民党が、国会審議を妨害。特にその時の責任者は、現法務大臣、当時の自民党総裁の谷垣さんであるという事実が、悲しいことです。
手のひらを返し、今回の政権交代後、自民党は「ハーグ条約加盟は喫緊の課題だ」と言って憚りません。笑止千万とはこのことです。こういうことは、マスコミが国民には伝えないので、真実はなかなか明らかにはなりません。しかし、国益を本当に損なっています。だからと言って、野党になった民主党がまた同じ嫌がらせをやるのでは、日本の政治は三流のままです。今回、過去のひどい自民党の対応を全て飲み込んで、全会一致で成立まで、法務委員会で審議を進めたのです。
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