【現地本部長日記】「国民負担の最小化」

掲載日:2011.08.03

本日、原子力損害賠償支援機構法案が参議院本会議を通り、成立しました。残念ながら全会一致では無かったですが、自民党・公明党などにも賛成をして頂きました。この法律が成立することにより、全ての被災者への一日も早い十分な賠償金支払いへ向けた重要な一歩が踏み出されることになります。衆参両院の附帯決議にもある通り、法律の目的は、「国民負担の最小化」を図りつつ、「原子力損害を受けた被害者の救済に万全を期す」(衆議院附帯決議)、「被災者に対する迅速かつ適切な損害賠償を図る」(参議院附帯決議)ことに尽きるものであり、また、特に参議院の附帯決議が明文化しているとおり、「東京電力株式会社を救済することが目的ではない」のは言うまでもありません。

この法律に関して、法案審議の最中に、何人かの有権者から立法の趣旨・目的などに関するお問合せを頂きました。大方のご質問は、この法律が、東電の救済のために国民を犠牲にする、国民負担で東電を救済する、ことを心配したものでしたが、上述の通りそのような立法趣旨は全くありません。従って、被害者の賠償額がカットする内容でもありませんし、また現在の原子力損害賠償法の見直しについても、賠償の対象・範囲を限定すべきという議論がなされたことはありません。ただし、国の責任を明確化するため補償契約額(現在1200億円)を引き上げることは、選択肢の一つになりえます。

なお、衆議院の附帯決議には、「東電に対し、すべてのステークホルダーに対して必要な協力の要請を行うことを求めること」というのがあります。個人的な見解ですが、福島はじめとした原子力災害の被災者のご苦労・ご苦悩を考えれば、東電の少なくとも経営陣は未来永劫、とてもボーナスなど受け取れるものではないし、更に言えば、福島原発を始めて以来今日までの全ての経営陣に遡及して、同じことが言えるのではないかと思っています。また、年金に関しても、苦しんでいる国民のために、まさに身を削る惜しみない協力を求めていきたいと思います。業績が良ければ、経営者はその業績に見合った大きなリターンを手にすることが許される反面、ひとたび経営に失敗すれば、その失敗の大きさに応じて、リターンは減額されます。それが民間企業経営陣の醍醐味でもあり、取るべきリスクでもあるはずです。

関連記事

記事はありません