【かなめ日記】「海外をどんどん見てみよう」

掲載日:2012.01.25

先日、地元活動の日程をやり繰りして、二泊三日でフィリピンに行って来ました。フィリピンは1995年から2000年まで私が暮した場所ですが、それ以来一度も訪ねることができず、実に12年ぶりの訪問となりました。

現地では、当時私が経営アドバイザーとして働いていたスマート社(携帯電話事業会社)の同僚が大勢、暖かく私を迎えてくれました。それまで再会はなかなか叶わなかったけれど、海の向こうでみんな元気で、変わらずに暮らしていたことが確認できて、本当に感動しました。会社も、私が現地にいたころは総勢わずか130名のベンチャー(そこにNTTが出資して、アドバイザーを派遣)でしたが、今は買収なども重ね、6万人を超えるフィリピン最大の会社の一つにまで発展していました。また、同じローカルパートナーが開発を手掛けていたフォートボニファシオ地区を案内してもらったのですが、当時はぺんぺん草が生えているような場所だったのが、現在はまるで赤坂サカスかどこかと見紛うような空間が果てしなく広がり、仕事帰りの若い男女で大変な混雑、まるで東京ディズニーランドにいるような感覚でした。

あのフィリピンでもこんなに変わっていくんだ。まあこんな言い方は失礼ではありますが、フィリピンは確かに「アジアの劣等生」などどいう不名誉なレッテルも貼られていた国です。しかし、人々はいつも明るく、暖かく、町も活気に満ち溢れています。日本のようにハイテク商品が溢れているわけではありませんが、町にLRT(マニラでは主として高架を走っていますが、輸送量を増強した路面電車のような交通システム)も延び、ビルもどんどんと建ち、新しい町が生まれ、力強く発展しているのです。

確かに、国民の平均年齢の違いとか、発展段階の違いとか、日本との差はあります。しかし、いろいろな意味で資産をたくさん蓄積してきた日本が、それらを最大限生かし、今よりもさらに活気のある社会をつくることが、できないはずがありません。特に大震災の後でもあり、ややもすると、内向き、下向き、後ろ向きなマインドに陥りがちな今の日本ではりますが、そんなときには、「海外をどんどん見てみよう」と私は声を大にして言いたいと思います。あれこれ壁にぶち当たったら、理屈抜きに海外を訪ねれば、必ずや何か大切なものに気づかせてくれると私は確信しています。

(ちなみに、このスマート社へのNTTの出資は、当時、世界銀行出向からもどった私が担当した業務で、社内で誰一人フィリピンへの投資などに関心が無かった当時、たった一人でプロジェクトを企画し、一年掛かりでNTTの取締役会の承認まで取り付けた、懐かしのプロジェクトです。今となってはNTTの海外事業の最大の成功事例であると言われています。)

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