【現地本部長日記】「セシウムについて」

掲載日:2011.08.26

素人ではありますが、周りに色々専門家の皆さんがおいでになる環境のおかげで、色々新しい知見を得ております。特にセシウムについて、三点ばかり最近私が知ったことをご報告します。お詳しい方には当たり前のことなのでしょうが。

まず、どのくらいの期間で生活圏での空間線量が今後下がっていくのか、という点に関連して、「放射線の強さ」が重要な要素だということです。具体的には、セシウム137に対してセシウム134の強さは2.7倍。つまり、半減期が約2年と短いセシウム134が、空間線量には2.7倍大きく寄与しているのです。その結果、放射能自体は先日の日記に書いたとおり当初の半分になるのに6年を要する(8月23日 本当の”半減期”)わけですが、空間線量率は何と3年で半分になるのです。それにウェザリング(雨風)の影響を加味すると、3年で半分以下、2年で6割になる(4割下がる)ことになるのです。政府発表の「除染せずとも、2年で4割下がる」とは、そういう意味なのです。

次に、セシウム137の性質についてです。京都大学の渡邊哲弘助教授などの調査によれば、セシウム137は地表に付着後30年を経過しても、その殆どが表層30センチ程度に留まっています。下層への移動は年間1センチ以下と言われています。チェルノブイリの場合、7年後で10センチ以内に78から99%が残留しています。一方、セシウムが粘土に吸着されやすいことも分かっています。学校のグランドなど現在行われている色々な実証実験でも、わずか5センチの表土を剥ぐだけで、線量が大幅に低減することが確認されています。効果的な除染のためには、こうしたセシウムの性質をうまく利用し、一日でも早く取り組むことが肝要となります。

内部被ばくに関しても、今後、注意が必要なのはセシウムです。食物などの放射線量はベクレル(Bq)という単位で表現されるので、これとシーベルト(Sv)との関係が分かりにくい、というご意見をよく頂きます。専門家の記述にもばらつきがあるのですが、内部被ばくに関してはこのベクレルとシーベルトとの関係は法定され告示の別表に係数としてまとめられています。半減期が30年のセシウム137を食物として経口摂取した場合の係数は「0.000013mSv/Bq」、即ちセシウム137が約77000ベクレル含まれている食品を摂取すると、内部被ばくが1mシーベルトとなります。ちなみに、外部被ばくについては、ベクレルとシーベルトとの間の係数はありません(比率は一意では決まりません)。

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