【かなめ日記】安保法案の強行採決を受けて
掲載日:2015.09.19
戦後70年、戦争体験を直接に語れる人も次第に減り、多くの人々の記憶も関心も薄れれば、政治的には大きな試練と危機とがやってくる。それが、まさにこの国会だ。岸信介元総理の孫、安倍晋三氏が権力の座に就いたという不幸だ。圧倒的多数の国民の意識とは乖離した強い「私的な」思い込みの中で、立憲主義を踏みにじり、歴代の自民党政権によって積み上げられてきた憲法解釈の法的安定性をも破壊し、暴挙に出た。恣意的な憲法解釈の変更は、「歴史は繰り返す」、即ち再び日本が道を誤る、その第一歩だ。
国会での総理や防衛大臣の説明は、法案の中身を理解しようとする多くの真剣な国民を一層不安にした。ホルムズ海峡も米艦防護も、集団的自衛権の行使を容認する立法の根拠たり得ないことが、国会審議で明らかになった。日夜、防衛の最前線で尽力している自衛官を始め、日本国民のみならず世界中の人々の命と平和な暮らしが関わる極めて重たい法案であるからこそ、他の如何なる法案と比較しても、権力の行使には自己抑制的な謙虚さと慎重さが求められなければならない。暴挙に暴挙を重ねた安倍内閣も政権与党も、遠くない将来、必ずや手痛いしっぺ返しを受けるであろう。
民主党は、東アジアにおける我が国の安全保障をより確かなものとするために「領域警備法案」を提出した。政府は、もしどうしても集団的自衛権の行使が必要と考えるのならば、きちんと国民にそれを説明し、解釈の変更などという邪道ではなく、正々堂々と憲法改正を主張すべきであった。
衆議院議員 たじま要
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