【かなめ日記】「チェルノブイリ視察を終えて3:除染と住民帰還について」

掲載日:2011.10.24

旧ソ連政府も現ウクライナ政府も、半径30キロ圏内の除染はきわめて限定的に行い、事故後25年経った今も、半径30キロ圏内は原則として立ち入り禁止区域となっていました。事故前にその地域に暮らしていた人口は11.6万人。ただ、事故当初は軍隊などによる広範な除染を考えていたようで、財政的な事情から断念し、別の地域での住宅提供や生活保障の対策などにシフトしていった経緯があるようです。当時のソ連と今の日本では政治体制も社会事情も異なるわけですが、住民の命・健康を最重視するという観点からは、帰還のタイミングに関しては、福島でも慎重にならざるを得ないと考えます。福島の事故前の人口は、半径20キロ圏内(現在の警戒区域)には7.8万人、そして飯舘村(現在の計画的避難区域)には6200人でした。今後の徹底的な除染によっても、住民の健康被害が懸念される線量がどうしても残ってしまう地域に関しては、どこかのタイミングで帰還を断念する政治判断も必要ではないかと感じます。

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