【現地本部長日記】「東京電力福島第一原子力発電所(1F)視察」

掲載日:2011.07.07

東京電力福島第一原子力発電所(通称”1F”)を今日視察しました。1Fでは現在も2000名以上が毎日働いています。そのうち1割程度が東電の社員、それ以外がメーカーや関連会社など、他社の社員だそうです。意外と東電社員の比率が低い印象。「免震棟」と呼ばれる、鉛で放射線から防御されている特殊な建物の中では多様な任務が行われ、そこを基点として大勢が1号機から6号機の中や周辺に出向き、線量を管理しながら様々な作業に当たります。今でも1Fに寝泊りしている作業者は約70名。その他は皆、いわき市などから1Fに通勤しているそうです。福島第二原発(2F)の宿泊施設からの通勤もあるそうです。作業環境はかなり改善したものの、暑さとともに最近では熱中症のケースが出てきており、夏に向けて要注意です。食事は今でも昼はレトルトが中心で、厳しい環境であることには変わりはありませんが、皆、使命感に燃え、てきぱきと仕事に取り組まれている印象を受けました。

1Fで最も目に留まる建物は、やはり原子炉建屋、中でも爆発によってほとんど原形を留めない3号機です。近くまでバスで行き見てみると、地震・津波の被害の大きさと爆発の強さに改めて驚きます。建屋は海面から10メートルの高さに立てられていますが、それでもなお5メートル程度の津波にやられました。地震・津波の被害はそのまま手付かずの状態の箇所がたくさん残っていました。また水素爆発の爆風で、多くの窓ガラスが割れていました。そうした被災をしながら、これまでの関係者の必死の作業の結果、たとえば循環注水冷却のための装置やホース類があちこちに設置され、稼動を始め、徐々に事故収束に向けて歩みを進めている印象です。放射能との戦いはまだまだこれから何年、何十年と続くと思われますが、まずは原子炉などの冷却・閉じ込めを一日も早く実現していかねばなりません。

福島県庁に戻り、本日一日で私が受けた被ばく線量は100μシーベルトでした。実は、福島に赴任して以来、昨日までの私の累積線量もちょうど100μシーベルトでした(一日平均約3μシーベルト)。つまり、今日一日の1F視察による被ばく線量は、福島市での普段の一日の被ばく線量の30倍以上ということです。大変な事故を一日も早く収束させるために、そういう厳しい作業現場に、今なお2000人以上が働いているのです。

関連記事

記事はありません